早いもので2学期の終わりを迎えました。
2学期は紅陵祭から始まって、県内外での宿泊研修や部活動の大会など様々な行事があり、通常の教室での活動では得られない経験をすることができたのではないかと思います。
3年生にとっては、共通テストや推薦入試などへの準備、そして実際に進路を決める受験があるなど、進路決定に向けた動きが本格化しましたし、模擬試験が毎週のように連続する中、自分の進路選択を現実のものとして考えることになったと思います。
私はこうした様々な活動を通して身につけてもらいたいこととして、読む力書く力伝える力、互いに支えあう人間関係、社会人として期待されるふるまいをあげてきました。
今日は、これらの中でなかなか話ができなかった2つめの「互いに支え合う人間関係」について話をしておきます。

これはもう少し詳しく言うと「自分が大切にされている」「失敗しても大丈夫」と実感できる生徒集団になってほしいというものです。
これはかなりハードルが高い目標だと思っています。それは、自分一人だけの力では実現できないからです。
しかし、一人一人が日々心がけることで、様々な場面で形になってくるのだと思います。

9月に新聞などで報道されましたが2年生野球部の中島さんが、ドラッグストアで起こった傷害事件の現場で、加害者に声をかけて制止し、被害者の保護に協力したということで、松江警察署から感謝状を贈呈されています。
なかなかできない立派な行動だと思います。
困っている人がいるときに、自分が何か役に立てないかという思いから出た行動だと思います。おそらく、被害者の方は見知らぬ高校生に助けられて、周りから守られている自分を感じられたことでしょう。

これとは別に、1学期の終わりの頃だったか、私が朝礼前に昇降口に立っていると、ある女子生徒が自転車を引きながら「この人熱中症で具合が悪いみたいです」と言って一人の女子生徒を連れてきてくれました。
知人ではない生徒だったのでしょうが、具合の悪い様子に気づいて一緒に坂を上がってきてくれたのかもしれません。
これも声をかけてもらった人にとっては、助けてくれる人がいるという安心感を覚えて、大切にされている自分を意識できたのではないかと思います。

また「失敗しても大丈夫」という点については、例えばこんな場面があります。
授業中発言するときに「間違っていても大丈夫」という雰囲気が教室の中にできていれば、クラス皆さんの学びも深まって充実した学習ができます。

日常一人一人が「自分が何か人のためになることはないか」「他人の人格を認め、ともに生活していく」という意識を持っていれば、より充実した生き方ができるのではないかと考えています。
このような経験は、日常生活を豊かにすることでより深く強いものになります。
特に多くの人が取り組んでいる部活動はまさにこうした経験を豊かにすることができる機会です。
部活動を通じて自分と向き合い、周りの人との関係の中で互いに支え合うことの意味を体感できるものと思います。
北高が力を入れている「文武両道」の意味は、このようなところにあると私は思っています。
以上、「互いに支え合う人間関係」という考え方について話をしました。

3年生はいよいよ共通テストを目前に控えて、最終的な追い込みの段階に入っていると思います。体調を整えて、最後の最後まであきらめず最善を尽くしてください。
2年生は2学期に行われた様々な行事を終えて、それぞれに貴重な経験を重ねることができたのではないでしょうか。最終学年に向けて目標をしっかり定めていってください。
1年生は、普通科の皆さんは文理選択という大きな分かれ道に立って、自分のこれからの道をどのようにしていくのか考えているところかもしれません。自分を見つめながら周りの人と相談したりして、考えをまとめていってください。

2学期の区切りに自らを振り返って、新しい年に向けて飛躍してくれることを願っています。